その日は、材料の買い出しに西に自転車を走らせた。
買い出し自体に、時間はかからない。
どうしても観たい映画に行けそうだった。


「馬を放つ」

キルギスの伝説を今も、ある理由から信じ続ける男と、誰にも知られてない秘密。
人間が私欲を増やすことを覚えてから、失われたものの大きさに、今更ながら唖然とする。

映画が終わっても、しばらく立ち上がれなかった。
人はまともだと生きてけないのか。
純粋って言葉は、もはや口にするのも憚れる。
馬に乗り飛ぶように走る男の姿に魅せられた。
男の翼は捥がれてしまった。

憑かれるような映画がある。


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