先週、宮島の「signal」という工芸や民藝と呼ばれる雑貨のお店に初めて行きました。
今、やっておられる「リトアニアの工芸」を見たかったからです。

一番は、リトアニアの人が編んだミトンが見たかったのです。
signalのホームページによると、
三角屋根の形は、末端からの冷えから守るため、先っぽに原毛を詰めるための形とのこと。
雪の日には、五本指の手袋より、ミトンが温かいこと。

編んだ後に縮絨するとのこと。
縮絨とは、熱いお湯と濃いめの石鹸水でグイグイ洗ってフェルト化させることです。
縮絨することによって、編み地が密になり風を通さなくなります。
本物を見ると、やはり目は詰んでいて、編み目自体は思っていたほど細かくはありませんでしたが、相当な詰まり具合でした。
合太くらいの糸でしょうか。
手首の縁周りには、ループ編みが施してあり、規格を崩さず手間を惜しまない仕事が、工芸と呼べる所以ではないでしょうか。
作り手のスタニスラヴァさんは既に他界されてるそうで、伝統工芸品の作り手であることの認定を受けた方だそうです。
もしかすると、このループは飾りだけじゃなく、服の袖口とミトンの隙間を埋め、温かさを逃さない役目にもなってるのではと思いました。

更に説明によると、リトアニアの人はミトンを神聖な存在と信じていて、
結婚の際には、花嫁が花婿とその家族のために編んで用意したとのこと。
スコットランドのセールブーミトンにも同じ習わしがありますし、
漁師達の家族が編んだセーターの温かさが、船上で命拾いになることと繋がってるとも思いました。



そういえば、岩手県出身の友人にミトンを作って欲しいと頼まれたことがあります。
自転車に乗るのなら5本指を進める私に、彼女は頑として「温かいから」とミトンを譲りませんでした。
私のは三角屋根ではなかっけれど、先が丸く集まった4本指の掌に、滑り止めのスウェードを貼り付けました。
ミトンに革を貼ったのは、後にも先にも彼女きりです。

そんなことを思い出しながら、松の根を加工し編まれた籠の存在感に感心し、七宝焼きのようなブローチに見惚れ、
中でも一番心惹かれたのはミツロウで出来たクリスマスオーナメントでした。

クリスマスの飾りがない訳じゃないけれど、どれももう子供っぽすぎて、
見る度に今の部屋には合わないと、出すのを躊躇うこの頃でした。
ミツロウ一色で出来たオーメントの淡い存在感が、うちにぴったりのような気がしましたし、近々会えるかもしれない友達にも、ひとつ分けてみたくなりました。



私がよその国の先輩が編んだものを見に行く時、実在しなくとも師匠に会いに行くような気分です。
見せてもらいますと、手に取ります。
私に先生はいないけど、そこここで工芸と呼ばれる仕事を見ることができます。
背筋が伸びる思いのしたものが、心に残り、いつか私の手から何かの形で再生されたらと思います。

signal(シグナル)での「リトアニアの工芸」は、12月24日(月)まで。

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